学習塾業界の最大手・業界1位はどこ?進学塾ランキングを5つのものさしで読み解く

学習塾業界の最大手・業界1位を5つのものさしで整理した比較インフォグラフィック|順位の読み解き方を保護者教育アドバイザー・佐藤 真由美が解説
答え:学習塾業界の「1位・最大手」は、測るものさしによって変わります。売上高で見れば東進ハイスクールや四谷大塚を運営するナガセが業界最大手ですが、校舎数・生徒数・合格実績・地域シェアで測れば、1位の顔ぶれはそれぞれ入れ替わります。数字の1位が、そのまま我が子に合う塾とは限りません。

「学習塾で一番大きいのはどこ?」「大手なら間違いないのかな」──塾を探しはじめた保護者が最初にぶつかるのが、この「業界1位はどこか」という問いです。私自身、3人の子の中学受験・高校受験・大学受験を通じて通算8つの塾を経験する中で、何度もランキングの上位から塾を選ぼうとしました。けれど、そのたびに「一番大きい塾が、我が子にとって一番いい塾とは限らない」という壁に突き当たってきました。

学習塾業界の最大手を正しく知るには、①どのものさし(指標)で測るのか、②我が子の受験分野で強いのか、③通える範囲にあるのか──この3つを分けて考える必要があります。3人の子と8つの塾を見てきた保護者教育アドバイザーの立場から、売上高・校舎数・生徒数・合格実績・地域シェアの5つのものさしで業界の勢力図を整理し、「数字の1位」と「我が子にとっての1位」の見分け方までお話しします。

「とにかく一番大きい塾に入れれば安心」と考えているご家庭にも、「大手なら本当に大丈夫なの?」と迷っているご家庭にも、順位表の読み方そのものが判断材料になるはずです。

この記事のサマリー

  • 「業界1位・最大手」は一つの答えではなく、売上高・校舎数・生徒数・合格実績・地域シェアの5つのものさしで顔ぶれが変わる
  • 売上高で見た業界最大手(上場企業)は、東進ハイスクール・四谷大塚を運営するナガセ
  • 校舎数・生徒数で見ると、個別指導のフランチャイズや学習教室チェーンが上位に来る
  • 「学習塾」「進学塾」「予備校」は指す範囲が違うため、最大手を問う言葉が変われば答えも変わる
  • 「進学塾で最大手」は受験分野(中学受験・高校受験・大学受験)ごとに答えが分かれる
  • 非上場の大手は売上ランキングに載らない。規模があってもランキングに映らない塾がある
  • 最大手=我が子のベスト塾ではない。順位で絞ったあとは、5つの軸で自分の目と我が子の反応で確かめる

そもそも「学習塾業界で1位」とは?──5つのものさしで答えが変わる

答え:学習塾業界の1位は、たった一つの数字では決まりません。売上高・校舎数・生徒数・合格実績・地域シェアという5つのものさしがあり、どれで測るかによって「最大手」の答えは入れ替わります。

「業界1位」と聞くと、たった一つの正解があるように感じます。けれど学習塾の世界では、何を「大きさ」と見なすかで、トップに立つ塾が変わります。会社としての売上高、全国に広がる校舎数、通う生徒の数、難関校への合格実績、そして特定の地域でのシェア──このどれを基準にするかで、業界の景色はまったく違って見えるのです。

もう一つ、順位表を読むときに欠かせない視点があります。よく見かける「学習塾売上高ランキング」の多くは、株式を上場している企業だけを並べたものだということです。塾を運営する会社には非上場の大手も少なくなく、そうした会社は決算を公表していても、上場企業向けのランキングには登場しません。ランキングに載っていない=規模が小さい、ではない──これは順位表を読むうえで、まず押さえておきたい前提です。

「学習塾業界1位」を測る5つのものさし
ものさし何を測るかこの指標で1位が変わる理由
売上高企業としての事業規模上場企業の決算で比較できるが、非上場の大手や通信教育主体の企業は評価がずれる
校舎数教室網の広さ・通いやすさフランチャイズ展開の個別指導が有利。直営の集団塾とは数え方の前提が違う
生徒数実際に通う子どもの規模集団塾か個別指導か、対象学年で大きく変わる。公表基準も各社まちまち
合格実績難関校・志望校への到達力中学受験・高校受験・大学受験のどこで見るかで強い塾が入れ替わる
地域シェア特定エリアでの存在感全国では中位でも、地元では圧倒的1位という塾がある

この5つを混ぜて「一番いい塾」を一列に並べようとすると、必ず無理が出ます。売上高が大きい会社が、我が子の受験分野に強いとは限らず、校舎数が多くても、通える場所に教室があるとは限らないからです。順位表は「どのものさしで測った順位なのか」を確かめてから読む──これが、ランキングに振り回されないための第一歩です。

「学習塾」「進学塾」「予備校」で指す範囲が違う

ものさしと同じくらい答えを左右するのが、問いに使う言葉そのものです。「学習塾の最大手」と「進学塾の最大手」は、似ているようで対象範囲が違います。ここを分けないまま順位表を読むと、目的に合わない塾が「1位」として目に入ってきます。

学習塾は最も広い言葉で、受験対策の塾も、学校の補習を中心にした塾も、個別指導も集団指導も、すべて含みます。業界規模や売上ランキングで使われるのは、たいていこの広い意味です。進学塾は、志望校合格を目的に据えた塾を指し、集団指導でカリキュラムを組むタイプが中心になります。予備校はさらに狭く、主に大学受験を対象とし、高校卒業後の受験生も受け入れる場を指します。

つまり「学習塾業界で1位はどこか」と「進学塾で最大手はどこか」は、別の問いです。前者は業界全体の事業規模を問う話で、個別指導のチェーンや学習教室も土俵に上がります。後者は受験指導に絞った話で、答えの顔ぶれは変わります。この記事では、まず業界全体をものさし別に見たうえで、進学塾に絞った勢力図をあらためて整理します。

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『佐藤メソッド ── 3人の子と8つの塾を経験した母が本音で評価』

佐藤 真由美(日本進学教育研究機構認定 保護者教育アドバイザー)

ランキングの順位を「候補を知る一覧表」として使い、数字の根拠を確かめてから読み解く方法は、書籍の第3章で体系立ててお伝えしています。順位そのものに塾選びを委ねないための考え方です。

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ものさし別に見た学習塾業界の最大手

答え:売上高で見た業界最大手はナガセ(東進ハイスクール・四谷大塚)です。校舎数では個別指導のフランチャイズ、地域シェアでは各エリアの大手集団塾がそれぞれ上位に立ちます。「最大手」は一社ではなく、ものさしごとに分かれて存在します。

ここからは、実在する大手塾を5つのものさしに沿って整理します。それぞれが「どのものさしで大きいのか」を見ていくと、業界の勢力図が立体的に見えてきます。

主な大手学習塾の勢力図(ものさし別の位置づけ)
塾・グループ運営会社指導形態強い分野大きさのものさし
東進・四谷大塚ナガセ映像・集団大学受験・中学受験売上高(上場企業で最大級)
明光義塾明光ネットワークジャパン個別指導中高生の学習全般校舎数(フランチャイズで全国有数)
東京個別指導学院ベネッセ系個別指導中高生の学習全般個別指導の売上規模
TOMASリソー教育個別指導難関校の受験個別指導の売上規模
早稲田アカデミー早稲田アカデミー集団難関私立・国立の受験難関校特化での存在感

売上高で見た最大手──ナガセ(東進ハイスクール・四谷大塚)

会社としての売上高で業界の上位に立つのは、東進ハイスクール・東進衛星予備校・四谷大塚などを運営するナガセです。2025年3月期の売上高は約550億円で、上場している学習塾企業の中では最大級の規模です。強みは大学受験の映像授業と、難関大学への現役合格実績。中学受験では四谷大塚を擁し、幅広い年齢層をカバーしています。ただし主戦場は大学受験・映像授業であり、地域の公立高校受験を集団指導で支えるタイプの塾とは、顧客層が大きく異なります。「売上高で1位」は「すべての受験分野で1位」を意味しない、ということです。

スケール感をつかむために、業界全体の数字も置いておきます。経済産業省の統計では、学習塾の市場規模は5,500億円台で推移し、受講者数は年間1,400万人台とされています。売上高で最大級の企業でも、業界全体から見れば1割前後の規模にとどまります。つまり学習塾業界は、突出した1社が市場を握る構造ではなく、多数の事業者が分け合う分散型の市場です。「業界1位」という言葉から受ける印象ほど、その1社が業界を代表しているわけではありません。

校舎数で見た最大手──個別指導のフランチャイズ

校舎数のものさしで上位に来るのは、日本で初めて個別指導を掲げた明光義塾をはじめとする、個別指導のフランチャイズチェーンです。フランチャイズ方式は教室を増やしやすく、全国有数の教室数を持ちます。「近所に教室がある」という通いやすさは、このタイプの大きな利点です。一方で、校舎数の多さは会社の規模を映しても、一つひとつの教室の指導の質を保証するものではありません。運営がフランチャイズ(加盟店)か直営かで、講師の質や運営方針にばらつきが出やすい点は、教室ごとに確かめる必要があります。

さらに教室数を広く取ると、受験指導の塾より、学習教室と呼ばれるタイプのチェーンが上に来ます。全国に1万を超える教室を持つ学習教室もあり、単純な教室数では受験塾を大きく上回ります。ただし、これらは受験合格を第一目的とした塾とは役割が異なります。校舎数のランキングは、指導形態の違う塾を同じ列に並べてしまう指標だという点は、順位表を読むときに意識しておきたいところです。

生徒数で見た最大手──公表基準がそろわない指標

生徒数は、保護者にとって最も実感に近いものさしです。実際に何人の子どもが通っているかは、その塾が選ばれている度合いをそのまま映します。教室数の多い個別指導チェーンや学習教室は、在籍者数でも十万人規模から百万人規模に達し、集団指導の進学塾はそれより小さな規模で、地域ごとに数万人規模の塾が並びます。

ただし、このものさしには扱いづらさがあります。生徒数の数え方が会社によって違うのです。ある時点の在籍者数を出す会社もあれば、年間の延べ受講者数を出す会社もあり、季節講習だけの受講生を含めるかどうかも各社の判断です。系列全体の合計なのか、特定ブランドだけの数なのかでも桁が変わります。

生徒数を見るときの確認点

生徒数の数字を見つけたら、いつ時点の数か、在籍者か延べ人数か、系列全体か単一ブランドかを確かめてください。この3つが揃わない数字どうしを比べても、大きさの比較にはなりません。数字そのものより、数字の但し書きのほうが情報量を持っています。

合格実績で見た最大手──受験分野ごとに入れ替わる

合格実績は、受験分野を決めないと比較が成り立たないものさしです。中学受験では首都圏の大手進学塾が難関校の実績を積み上げ、大学受験では映像授業や大手予備校が難関大の合格者数を公表し、高校受験では各都道府県の地域大手が地元の公立上位校の実績を持ちます。全国一律で「合格実績1位」と言える塾は存在しません。

そして合格実績の数字は、読み方に注意が要る指標でもあります。延べ人数か実人数か(1人が複数校に合格すればその分だけ数が増えます)、季節講習だけの受講生を含むか、系列全体の合計か通う予定の校舎単独かによって、同じ塾でも見え方が変わります。

佐藤メソッドで塾を評価する5つの軸のうち、実績の軸で問うのは「その合格は、入塾時に我が子と同じ位置にいた子が出したものか」です。難関校の合格者数がどれだけ並んでいても、その子たちが入塾時点から上位層だったのなら、我が家の参考にはなりません。見るべきは合計の数ではなく、我が子と近い位置から伸びた子がいるかどうかです。この観点は、順位表からは決して読み取れません。

地域シェアで見た最大手──全国順位に映らない強さ

全国ランキングには大きく出てこなくても、特定の地域では大きな存在感を持つ塾があります。関西では、中学受験の浜学園や馬渕教室が地域の受験を支えています。首都圏でも、県単位で見れば全国区の塾より地元の集団塾のほうが通っている生徒が多い、という地域は珍しくありません。

地域シェアというものさしで見ると、「全国◯位」より「この地域で一番」のほうが、実際の塾選びでは意味を持つことが少なくありません。我が子が受けるのは全国大会ではなく、地元の学校の入試だからです。公立高校の入試は都道府県ごとに制度が異なり、内申点の扱いも問題の傾向も違います。その地域の入試を長年見てきた塾が持つ情報量は、全国規模の知名度とは別の価値を持ちます。

神奈川を中心とした首都圏では、次章で取り上げる臨海セミナーが、校舎数と生徒数の規模で地域シェアの大きい集団指導塾にあたります。都内を含む高校受験塾の地域別の勢力図は、高校受験塾の最大手はどこ?都内の高校受験塾ランキングで詳しく整理しています。

進学塾で最大手はどこか──集団指導に絞った勢力図

答え:進学塾の最大手は、受験分野ごとに分かれます。中学受験では首都圏の大手進学塾、大学受験では映像授業を展開するグループと大手予備校、高校受験では各地域の大手集団塾がそれぞれの分野で最大手にあたります。個別指導も含む「学習塾の最大手」とは、答えの顔ぶれが変わります。

ここまでは個別指導や学習教室も含めた業界全体の話でした。ここからは、志望校合格を目的とした進学塾、つまり集団指導でカリキュラムを組むタイプに絞って勢力図を見ていきます。保護者が「進学塾で最大手はどこか」と調べるとき、知りたいのはたいていこちらの答えです。

集団指導の進学塾で規模が大きいグループ

集団指導の進学塾は、全国を一社が覆う構造にはなっていません。中学受験では首都圏と関西でそれぞれ大手が分かれ、高校受験では都道府県ごとに地域の大手が主役を務め、大学受験では全国展開の予備校と映像授業のグループが並びます。売上規模で見れば大学受験系のグループが上位に来ますが、小中学生の受験指導という土俵に限れば、地域大手のほうが在籍生徒数で上回る県もあります。

「進学塾の最大手」という問いに全国共通の答えが出てこないのは、この構造のためです。規模の大きい塾をまとめて呼ぶ「三大塾」「4大塾」という通称も、受験分野や地域によって顔ぶれが変わります。その定義と顔ぶれの整理は、4大塾とは?三大塾との違いと中学受験・大学受験で変わる顔ぶれで扱っています。

難関私立・国立に特化した進学塾──早稲田アカデミー

早稲田アカデミーは、難関私立・国立の中学受験・高校受験に照準を合わせた進学塾です。開成・早慶附属といった最難関校の合格実績を積み上げており、ハイレベルな集団授業と競争的な環境を特徴とします。裏を返せば、志望校や学力層がこの「難関特化」に合うかどうかで、向き不向きがはっきり分かれる塾でもあります。標準的な公立高校を目指すご家庭や、競争より一人ひとりの伸ばし方を重視したいご家庭には、指導の設計が合わない場合があります。最大手の一角ではありますが、「誰にでも合う大手」ではなく「難関を目指す層のための塾」と位置づけて検討するのが、実態に合った見方です。

受験分野で変わる「進学塾の最大手」

進学塾の最大手は、我が子が挑む受験の種類を決めて初めて答えが定まります。中学受験なら首都圏と関西で顔ぶれが分かれ、高校受験なら通える範囲の地域大手が候補になり、大学受験なら映像授業か対面の予備校か、さらに集団か個別かで選択肢が枝分かれします。

受験分野別に見た「進学塾の最大手」の考え方
受験分野最大手を見るときの単位詳しい整理
中学受験首都圏・関西など広域ブロック単位。難関校の合格実績が指標になりやすい中学受験の三大塾・4大塾を比較
大学受験全国単位。映像授業・対面予備校・個別指導で選択肢が分かれる大学受験に強い個別指導塾のランキング

順位表を探すより先に、「我が家はどの受験の話をしているのか」を決める。この一手間が、最大手探しをぐっと実用的なものにします。

個別指導で大手はどこか──校舎数で上位に来る理由

答え:個別指導の大手は、東京個別指導学院・トライ・リソー教育(TOMAS)・明光義塾などです。個別指導が校舎数のランキングで上位に来るのは、フランチャイズ方式で教室を増やしやすく、小さな区画でも教室を開けるためで、会社の規模がそのまま指導の手厚さを示すわけではありません。

校舎数のものさしで個別指導が上位を占める理由は、指導形態そのものにあります。集団指導は一定人数の教室と時間割を前提としますが、個別指導は小さな区画でも開設でき、フランチャイズによる出店で教室網を急速に広げられます。つまり校舎数の順位は、指導の優劣ではなく出店のしやすさの差を映した数字だということです。

個別指導の大手──東京個別指導学院・トライ・リソー教育

個別指導では、ベネッセグループの東京個別指導学院、家庭教師と個別指導を全国展開するトライ、難関校受験に強いTOMAS(リソー教育)などが大手として知られます。いずれも「講師一人に生徒一〜二人」という手厚さを売りにしており、集団塾が合わなかった子の受け皿として選ばれます。費用は集団塾より高めになりやすいため、面倒見の手厚さと費用のバランスをどう取るかが、個別指導を選ぶ際の分かれ目になります。

個別指導は塾ごとの料金体系の差が大きく、同じ「週2回」でも総額が大きく変わります。大学受験に対応する個別指導塾の比較は大学受験に強い個別指導塾のランキング、英語塾を含めた指導形態別の整理は個別指導塾・英語塾の大手はどこかで扱っています。

フランチャイズと直営で変わる教室ごとの差

個別指導を検討するうえで見落とせないのが、その教室がフランチャイズ(加盟店)か直営かという違いです。フランチャイズは本部が教材やカリキュラムを提供し、運営は加盟オーナーが行います。そのため、同じ看板でも教室ごとに講師の採用方針や研修の手厚さ、教室長の力量に差が出やすくなります。直営は本部が直接運営するぶん、方針は揃いやすい傾向があります。

大手個別指導を検討するときの確認点

個別指導では、会社の規模より通う予定の教室そのものを確かめることが決定的に重要です。担当する講師は学生か社会人か、担当が固定されるか毎回変わるか、教室長が何年その教室にいるか。この3点は同じブランドでも教室によって違い、体験授業で必ず確認できます。

首都圏の集団指導で規模が大きい塾──臨海セミナー

答え:臨海セミナーは、神奈川県横浜市で創業し、首都圏を中心に約550校を展開する大手の集団指導塾です。全国売上ランキングには載らない非上場企業ですが、校舎数・生徒数・地域シェアというものさしで見ると、首都圏の集団指導では規模の大きい存在です。

「業界1位」を売上高だけで測ると見落としてしまうのが、非上場の大手です。臨海セミナーはその代表例で、株式を上場していないため上場企業の売上ランキングには登場しませんが、規模でいえば首都圏有数の集団指導塾です。1974年に神奈川県横浜市の小さな学習塾として始まり、2024年には創業50年を迎えました。

549

首都圏中心の校舎網(2025年冬期時点・同社発表)

7.3万名

在籍生徒数の規模(2025年9月・同社発表)

50周年

1974年創業・地域に根ざした進学塾

5都府県

神奈川発・東京・千葉・埼玉・大阪へ展開

指導の主軸は、教室で複数の生徒に向けて行う集団指導です。神奈川県では「神奈川拠点塾中で生徒数1位」(2024年4月・同社調べ)を掲げ、地域の公立高校入試に照準を合わせた指導体系を持っています。近年は個別指導部門(臨海セレクト)や映像・オンライン授業も併設し、小学1年生から高校3年生までを一つの塾でカバーできる体制を広げています。

佐藤メソッドの5つの軸で見ると、臨海セミナーの持ち味は立地授業に表れます。神奈川を中心に教室網が細かく張り巡らされているため、疲れた日でも通える距離に教室が見つかりやすいこと。そして「授業料・実績・面倒見」を掲げ、集団指導のなかで定期テスト対策から入試対策までを積み上げていくこと。地元の公立校を目指し、集団の中で切磋琢磨させたいご家庭には、通いやすさと指導の一貫性の両方が現実的な利点になります。

一方で、集団指導が主軸である以上、周囲のペースが我が子に合うか、大人数の中で質問できるかは、体験授業で確かめておきたいところです。一人ひとりにじっくり付き添う指導を求めるなら、同じ塾の個別部門や、他の個別指導塾と比べて選ぶ必要があります。規模が大きいことは安心材料の一つですが、それだけで「我が子に合う」と言い切れるわけではありません。ここから先は、次の章でお話しする「自分の目で確かめる」段階に入ります。

ランキングの数字を口コミからどう読むか──5基準でふるう

答え:ランキング上位の塾ほど口コミの件数も増えるため、評価の高さと件数の多さを混同しないことが大切です。順位や実績の数字にまつわる口コミは、具体性・立場・鮮度・温度・一致の5つの基準でふるい、誰がいつどの教室について語った声かを確かめてから判断します。

順位表を見たあと、ほとんどの保護者が次にすることは口コミ検索です。ところが上位の塾ほど口コミの数が多く、絶賛と酷評が同じ画面に並びます。ここでは、順位や実績の数字にまつわる口コミを読むときに、5つの基準がどう効くかをお伝えします。

1位の塾ほど口コミが多いのはなぜか──具体性と立場

規模の大きい塾は生徒数が多いぶん、書き込まれる口コミの母数も増えます。件数が多いこと自体は評価の高さを意味しません。まず具体性で見てください。「業界最大手だから安心」「1位の塾だけあってさすが」といった声は、順位という外部情報を言い換えただけで、教室で何が起きたかを語っていません。曜日や学年、担当の様子といった手触りのある記述があるかどうかが分かれ目です。

次に立場です。大手ほど紹介記事や広告的な文章が増えるため、その声が実際に通わせた保護者のものか、比較サイトの編集によるものかを見分ける必要があります。私も上の子のときは、順位の高さと口コミ件数の多さを合わせて「間違いない」と考えてしまい、実際に通わせた人の話を確かめないまま決めてしまいました。件数は安心の根拠にはならない、というのが後から得た教訓です。

「合格実績No.1」は誰の実績か──鮮度・温度・一致

鮮度は、実績まわりの口コミで特に効きます。「この塾から難関校にたくさん受かった」という声が、いつの、どの校舎の話なのかを確かめてください。大手ほど校舎数が多く、同じ塾名でも校舎によって講師も雰囲気も変わります。数年前の別の校舎の評判は、我が家が通う校舎の話ではありません。

温度も見ます。伝えたくて書かれた口コミか、感情をぶつけるために書かれたものかは、文章の熱量に表れます。極端な絶賛と極端な酷評はどちらもいったん保留にし、落ち着いた筆致の記述を優先して読みます。

最後が一致です。一件だけに書かれている話は、その人固有の事情かもしれません。別の場所でも同じ声が聞こえるなら、その塾の傾向として受け取ってよいと考えます。「宿題が多い」「面倒見が手厚い」といった特徴は、複数の場所で重なって初めて信頼できます。5つの基準それぞれの使い方は、佐藤メソッド完全解説でひととおり解説しています。

「最大手=我が子のベスト塾」ではない──規模で選ぶ落とし穴

答え:最大手や1位の塾でも、我が子に合わないことはあります。規模は候補を絞る入口の材料にはなりますが、最終的に通うのは我が子一人。順位で候補を数件に絞ったら、そこからは5つの軸で自分の目と我が子の反応を確かめて決めます。

ここまで見てきたように、「最大手」はものさしごとに違う顔を持ちます。では、その中から一つを選ぶとき、順位はどこまで頼りになるのでしょうか。私の8つの塾の経験から言えるのは、ランキングや規模は「確かめに行く候補を絞る入口」までしか教えてくれないということです。

規模の大きい塾ほど起こりやすいミスマッチもあります。生徒数が多いぶん一クラスの人数が増え、おとなしい子が質問しそびれてしまうこと。校舎数が多いぶん、同じ看板でも教室によって講師や雰囲気に差が出ること。有名だからと通わせたものの、家からの通塾負担が続かず、成績より先に気持ちが折れてしまうこと。どれも「大手だから安心」と順位だけで決めたときに、静かに起きてくることです。

だからこそ塾選びは二段構えになります。第一段では、ランキングや口コミといった他人の声を材料に、足を運ぶ候補を数件に絞る。第二段では、その候補を実際に訪ね、授業・面倒見・費用・実績・立地の5つの軸で、我が子の反応とともに確かめる。順位表は第一段の道具であって、第二段の答えではありません。5つの基準・5つの軸の詳しい使い方は「佐藤メソッドとは」にまとめています。

順位で絞り、自分の目で決める

業界最大手がどこかを知ることは、塾選びのゴールではなくスタートです。口コミは入口にすぎず、決めるのは自分の目である──ランキングの数字は候補を知るための一覧表として使い、我が子に合うかどうかは、教室のドアを開けて自分の目で確かめる。この順序を守るだけで、塾選びは「有名だから」に流されないものになります。

よくある質問(FAQ)

Q. 学習塾業界で1位(最大手)はどこですか?

一つの答えはなく、測るものさしで変わります。会社の売上高で見ると、東進ハイスクール・四谷大塚を運営するナガセが上場企業では最大級です。校舎数では個別指導のフランチャイズ、生徒数や地域シェアでは各エリアの大手集団塾が上位に来ます。「業界1位」を調べるときは、その順位が何を基準にした順位なのかを必ず確かめることをおすすめします。

Q. 進学塾で最大手はどこですか?

受験分野によって答えが分かれます。大学受験では映像授業と難関大合格実績を持つ東進(ナガセ)や、河合塾・駿台といった大手予備校。中学受験では首都圏のSAPIX・四谷大塚・日能研、関西の浜学園・馬渕教室。高校受験では首都圏の臨海セミナーをはじめ、各地域の大手集団塾が有力です。「進学塾の最大手」は、我が子が挑む受験の種類に合わせて見るのが実際的です。

Q. 「学習塾」と「進学塾」で最大手は変わりますか?

変わります。「学習塾」は補習塾も個別指導も学習教室も含む広い言葉で、業界全体の売上や教室数を問うときに使われます。「進学塾」は志望校合格を目的とした塾を指し、集団指導が中心です。そのため学習塾全体では個別指導のチェーンが校舎数で上位に来る一方、進学塾に絞ると受験分野ごとの大手が答えになります。

Q. 校舎数が一番多い塾はどこですか?

受験指導の塾に限れば、明光義塾をはじめとする個別指導のフランチャイズチェーンが全国有数の教室数を持ちます。学習教室まで範囲を広げると、全国に1万を超える教室を展開するチェーンもあり、教室数では受験塾を大きく上回ります。ただし校舎数は出店のしやすさを映す指標で、指導の質や受験対応力を示すものではありません。

Q. 生徒数で塾を比べるときの注意点はありますか?

数え方が会社ごとに違うため、数字をそのまま比べられない点に注意してください。ある時点の在籍者数を出す会社もあれば、年間の延べ受講者数を出す会社もあり、季節講習だけの受講生を含めるかどうかも各社の判断です。系列全体の合計か特定ブランドだけの数かでも桁が変わります。いつ時点か、在籍か延べか、どの範囲かの3点を確かめてから比べることをおすすめします。

Q. 大手の塾なら安心して選んで大丈夫ですか?

規模は安心材料の一つですが、それだけで我が子に合うとは限りません。生徒数が多いぶん質問しづらかったり、教室によって指導に差が出たり、通塾負担が続かなかったりというミスマッチは、大手でも起こります。ランキングや知名度は候補を絞る入口として使い、最終的には体験授業で授業・面倒見・費用・実績・立地の5つの軸を確かめて判断することをおすすめします。

Q. 臨海セミナーは学習塾業界で何位ですか?

臨海セミナーは非上場企業のため、上場企業を並べた売上高ランキングには登場しません。ただし規模で見れば、神奈川県横浜市で創業し首都圏を中心に約550校を展開する大手の集団指導塾で、神奈川では生徒数の多い進学塾として知られます。「全国で何位か」よりも、我が子の通うエリアと受験分野でどれだけ実績と通いやすさがあるか、という見方のほうが塾選びには役立ちます。

Q. 塾のランキングは、結局どう使えばいいのですか?

ランキングは「候補となる塾の存在を知る一覧表」として使うのがおすすめです。順位そのもので塾を決めるのではなく、その順位が何を基準に(売上・校舎数・合格実績など)作られたものかを確かめ、我が子の受験分野や通えるエリアに合う塾を数件ピックアップする。そこから先は、実際に足を運んで自分の目で確かめて決めます。順位を出発点、自分の目を決定打にする──これがランキングとの付き合い方です。

まとめ

答え:学習塾業界の「1位・最大手」は、売上高ならナガセ、校舎数なら個別指導のフランチャイズ、地域シェアなら各エリアの実力塾というように、ものさしごとに別々に存在します。順位は候補を知る入口として使い、我が子に合うかどうかは5つの軸で自分の目で確かめます。

学習塾業界の「1位・最大手」は、一つの数字では決まりません。売上高で見ればナガセ、校舎数で見れば個別指導のフランチャイズ、地域シェアで見れば各エリアの実力塾──ものさしを変えれば、トップに立つ塾も変わります。臨海セミナーのように、非上場ゆえ売上ランキングには載らなくても、首都圏の集団指導では規模の大きい塾もあります。

加えて、問いに使う言葉によっても答えは動きます。個別指導や学習教室まで含む「学習塾」の最大手と、志望校合格を目的とした「進学塾」の最大手は別物です。進学塾に絞れば、答えは中学受験・高校受験・大学受験という受験分野ごとに分かれ、高校受験では通える範囲の地域大手が現実的な候補になります。

大切なのは、その順位を我が子の塾選びにどうつなげるかです。ランキングは候補を知る入口として使い、我が子の受験分野・通えるエリアで数件に絞る。そこから先は、授業・面倒見・費用・実績・立地の5つの軸で、自分の目と我が子の反応を確かめて決める。佐藤メソッドの二段構えは、この「順位で絞り、自分の目で決める」ための道具です。目的別に候補を絞りたいときはおすすめ塾総合ランキング、個別の塾の評判や料金は塾別の評判・口コミで一つずつ検証していきます。業界最大手を知ることは、我が子に合う塾を探す旅の、ゴールではなくスタートです。

この記事を書いた人

3人の子ども(中学受験・高校受験・大学受験)の受験を通じて、通算8つの学習塾を保護者として経験。「口コミは入口にすぎず、決めるのは自分の目である」を判断哲学に、口コミを5基準でふるい、塾を5軸で確かめる「佐藤メソッド」で学習塾を本音で評価しています。

口コミを5基準(具体性・立場・鮮度・温度・一致)でふるい、塾を5軸(授業・面倒見・費用・実績・立地)で確かめる二段構えの塾選びメソッド『佐藤メソッド』の書籍カバー。3人の子と8つの塾を経験した母親・佐藤 真由美によるKindle出版書籍

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