学習塾の比較は何を見る?集団・個別・映像を同じ条件で並べる7項目と比較表の作り方

学習塾の比較で見る7項目を3塾分並べた比較表の図解。対象・授業形式・週の回数・1年の総額・通学時間・定期テスト対策・振替の各行と、埋まっていない空欄を示す。保護者教育アドバイザー佐藤真由美の解説記事

学習塾の比較は:学習塾の比較は、授業形式(集団・個別・映像)と通塾の目的、そして1年の総額という3点をそろえてから行います。この3点が決まらないまま塾名だけを並べても、条件の違う相手を比べることになり、どこが我が家に合うかは出てきません。比較は、塾を探す作業ではなく、比べられる状態を先に作る作業です。

「有名なところを3つ見てみたんですけど、どこも良さそうで決められなくて」

塾選びの相談で、いちばん多く聞く言葉です。パンフレットを並べると、どれにも良いことが書いてあります。私自身、3人の子どもを育てるあいだに8つの塾を経験しましたが、最初の子のときは同じところで止まりました。

止まる理由ははっきりしています。比べているつもりで、比べられる状態になっていないからです。学年も違えば、週の回数も、費用に含まれている範囲も違う。条件がそろっていない3枚を並べても、差は出てきません。

この記事では、集団・個別・映像の3形式を同じ項目で並べる手順と、比較表に置く7項目、そして公開情報では埋まらない欄をどこで埋めるかまでをまとめます。塾の名前を覚えるための記事ではなく、我が家の1枚を作るための記事です。

この記事の要点

  • 学習塾の比較は「授業形式・目的・1年の総額」の3点をそろえるところから始まる。塾名を並べるのはそのあと
  • 授業形式は集団指導・個別指導・映像授業の3つ。同じ4項目(特徴・向く子・費用の水準・気をつける点)で並べると差が見える
  • 条件をそろえないと比較は成立しない。学年・期間・週の回数・受験の有無の4つを先に固定する
  • 費用は月謝ではなく1年の総額で並べる。月謝の外側に季節講習・教材費・模試代・維持費が乗る
  • 検索サイトの一覧は出発点でしかない。掲載されている塾は掲載の仕組みで決まるため、候補の母集団は自分で足す
  • 臨海セミナーのように、学年とコース単位で区分と授業料が公式に示されている塾は、比較表の欄を先に埋めやすい
  • 塾ごとにコースの切り方が違う。志望校レベルで切る塾、学年×講座で切る塾、目的別のオプションで切る塾がある
  • 比較表は3塾×7項目の1枚で足りる。合格実績は同じ条件で並ばないので、この表には入れない
  • 埋まらない欄は空欄のまま体験と面談に持って行く。空欄こそが、聞くべきことの一覧になる
授業形式3つの早見表(公式サイトの案内内容にもとづく一般的な傾向)
形式特徴向く子費用の水準気をつける点
集団指導学校のクラスに近い形で、決まった進度のカリキュラムを一斉に進める競い合う環境で伸びる子、自分から質問できる子中くらい進度に乗れないと埋もれる。戻る時間は基本的に用意されない
個別指導講師1人に生徒1〜3人。学力と目的に合わせて内容を組み直すつまずいた地点まで戻りたい子、質問を口に出しにくい子高め担当講師で質が動く。コマ数を増やすほど総額が伸びる
映像授業収録された授業を、自分の時間に合わせて視聴して進める部活などで時間が読めない子、自分で計画を立てられる子低め続ける仕組みが本人まかせになりやすい

学習塾の比較は授業形式・目的・費用の3点で見る──先に全体像を示す

比較の入口は:学習塾を比較する入口は、授業形式・通塾の目的・1年の総額の3点です。この順に決めていくと、候補は自然に3つ程度まで絞られます。塾名から入ると候補が増え続けますが、3点から入ると減っていきます。

比較を始めるとき、多くのご家庭が塾の名前から入ります。近所にある塾、友だちが通っている塾、広告で見た塾。名前から入ると候補は増える一方で、増えた候補を並べる作業に時間を取られます。

順番を逆にしてください。先に3点を決めると、候補は最初から絞られた状態で出てきます。

比べる前に決めるのは目的──同じ学年でも比較対象が変わる

目的は「定期テストと内申を上げたい」「志望校の入試に向けて力をつけたい」「つまずいた単元を戻って埋めたい」のどれかに寄ります。この3つは似ているようで、必要な塾の形がまるで違います。

同じ中2でも、定期テストが目的なら学校の進度と出題範囲に寄せられる塾が第一候補になり、入試が目的なら学校より先に進むカリキュラムを持つ塾が第一候補になります。比べる相手そのものが入れ替わるので、目的を決めずに並べた3枚は、そもそも同じ土俵に乗っていません。

なお「学習塾」という言葉が指す範囲も、塾によって違います。受験指導を主にする進学塾と、学校の補習を主にする学習塾では役割が分かれるので、その違いは進学塾と学習塾の違いを整理した記事で確認しておくと、候補を出す段階から迷いが減ります。

3点が決まると候補は3つ程度に絞れる

目的が決まると形式が絞られ、形式が絞られると価格帯が読めます。この時点で、通える範囲にある塾のうち候補として残るのは、たいてい3つ前後です。

候補が5つ以上残るときは、目的がまだ2つ以上あります。2つ以上あるなら、どちらを主にするかを先に決めてください。主を決めないまま両方に対応できる塾を探すと、結局どちらも中途半端な比較になります。

3点のうち費用を最後に置いているのには理由があります。費用から入ると、金額の低い順に候補が並び、目的に合わない塾が上に来ます。合わない塾に1年払うほうが、結果としては高くつきます。費用は、目的と形式で残った候補のなかで比べる項目です。

授業形式で比べる──集団・個別・映像を同じ項目で並べる

授業形式の比較は:授業形式の比較は、集団指導・個別指導・映像授業の3つを、特徴・向く子・費用の水準・気をつける点という同じ4項目で並べて行います。形式ごとに違う項目で説明された資料を読み比べても、差は見えてきません。

塾の資料は、それぞれの形式が得意なことを中心に書かれています。集団の資料には合格実績が、個別の資料には一人ひとりへの対応が、映像の資料には受講の自由度が並びます。書いてある項目が違うので、そのまま読み比べても比較になりません。

こちらから4項目を決めて、同じ枠に入れ直します。

集団指導──クラスの進度に乗せて伸ばす形

集団指導は、決まったカリキュラムをクラス単位で進めます。授業料は個別より抑えられ、同じ志望帯の生徒が集まるため、周囲の存在がそのまま学習のペースを作ります。

向くのは、競い合う環境で力が出る子と、わからないところを自分から質問に行ける子です。反対に、進度に乗れなくなったときに戻る時間は基本的に用意されていません。ついていけていないことに家庭が気づくまでに時間がかかる点が、いちばん気をつけるところです。

同じ集団指導でも、1クラスの人数は10人台から30人台まで幅があります。人数が増えるほど1人あたりに向く時間は減りますが、そのぶん同じ志望帯の生徒が集まりやすくなります。人数の多さを短所と決めつけず、我が子が後ろの席でも手を挙げられるかで判断してください。

  • クラス分けの基準と入れ替えの頻度──成績で分かれるのか、志望校で分かれるのか。何か月ごとに入れ替わるのか
  • 欠席したときの扱い──録画や補講があるのか、板書を写して終わりなのか
  • 学校の進度に対する先行の度合い──どの単元まで先に進むのか。先行が大きいほど、テスト前に戻る時間が必要になります

個別指導──つまずいた地点まで戻して組み直す形

個別指導は、講師1人に対して生徒1〜3人の形で進みます。学年に縛られず、つまずいた単元まで戻ってやり直せるのが最大の特徴です。

向くのは、質問を口に出しにくい子と、特定の科目だけ立て直したい子です。気をつけるのは費用の伸び方で、コマ数を足すほど総額が上がります。受験期に「コマを増やしませんか」と提案が来る前提で、上限を決めてから始めるほうが安全です。

1対1と1対2では、同じ時間でも中身が変わります。1対2は、講師が一方に説明しているあいだ、もう一方は演習に入る設計です。演習の時間も込みで力がつく子には合いますが、一人だと手が止まる子には1対1のほうが向きます。どちらが良いかではなく、我が子が止まるかどうかで選ぶ項目です。

  • 講師1人あたりの生徒数──1対1なのか1対2なのか1対3なのか。同じ「個別」でも密度が変わります
  • 担当講師が替わるかどうか──毎回同じ講師か、シフトで替わるか
  • 増コマの提案が来る時期──いつ、どれくらいの規模で打診があるのか

映像授業──時間の自由と引き換えに自己管理が要る

映像授業は、収録された授業を自分の時間に合わせて視聴します。通塾の曜日に縛られないため、部活や習い事で時間が読めない子でも組み込めます。費用は3形式のなかでは抑えめです。

向くのは、自分で計画を立てて実行できる子です。気をつけるのは、続ける仕組みが本人まかせになりやすいところ。受講の進み具合を教室側が確認する仕組みがあるかどうかで、同じ映像授業でも結果が大きく分かれます。

映像授業は、教室に通って視聴する形と、自宅で視聴する形があります。同じ映像でも、教室で受ける形なら通塾の習慣が残り、進み具合を教室側が把握できます。費用の安さだけで選ぶと、この違いが抜け落ちます。

  • 受講の進捗を誰が見るか──担当者がつくのか、本人の自己申告なのか
  • 質問の手段──その場で聞けるのか、フォームで後日回答なのか
  • 視聴期限──いつまでに見終える必要があるのか

3形式それぞれの中でも、大手か地域密着かによって強みは変わります。類型ごとに授業・面倒見・費用・実績・立地の5軸を当てた評価は類型別に5軸を当てたおすすめ塾の総合記事にまとめてあるので、形式が決まったあとの絞り込みではそちらを使ってください。

比較の前に条件をそろえる──学年・期間・週の回数・受験の有無

そろえる条件は:比較の前にそろえる条件は、学年・期間・週の回数・受験の有無の4つです。この4つが違うまま塾の情報を並べると、条件の差が塾の差に見えてしまい、判断を誤ります。

資料を取り寄せると、塾ごとに違う条件の数字が載っています。ある塾は中2の週2回の月額、別の塾は中3の受験科目全部の月額。この2つを並べて「こちらが安い」と判断すると、学年と回数の差をそのまま塾の差として読むことになります。

面倒でも、最初に4つの条件を紙に書いて固定してください。「中2・1年間・週2回・高校受験あり」と決めてから資料を読み直すと、同じ資料から拾う数字が変わります。

期間と回数をそろえないと費用は並ばない

期間は1年で固定します。月額で比べると、季節講習の有無や回数の差が入ってこないためです。塾によって講習の扱いが大きく違うので、月額だけの比較はほとんど意味を持ちません。

回数も固定します。週2回の塾と週3回の塾を並べて金額の差を見ても、その差は回数の差です。同じ週2回でそろえたうえで、1回の時間が何分かまで確認してください。同じ週2回でも、1回60分と1回90分では受ける量が1.5倍違います。

科目数も同じです。5教科の塾と、英数2教科の塾を同じ枠で比べることはできません。中学生の場合、英数から始めて必要に応じて足していく形が多いので、比較の時点では受ける科目をそろえておいてください。科目を増やしたときにいくら上がるかは、そのあとで聞けば足ります。

受験をするかどうかで、そもそも土俵が変わる

中学受験をするかしないか、高校受験で上位校を狙うかどうかで、候補に入る塾がまるごと入れ替わります。中学受験の大手は学年の進み方も教材も専用に組まれているので、公立中学校に進む前提の塾とは横に並びません。

中学受験を視野に入れている場合は、そもそもの顔ぶれが違うので、中学受験の三大塾・4大塾を比較した記事で土俵そのものを確認してから候補を出してください。この記事が扱うのは、その手前にある「どの土俵で比べるか」の話です。

費用は月謝ではなく1年の総額で並べる

費用の比べ方は:費用は月謝ではなく、1年の総額で並べます。月謝の外側に、季節講習・教材費・模試代・維持費・入会時の手数料が乗るためです。総額でそろえると、月謝の安い塾が年間では高くなる例が出てきます。

塾の案内でいちばん大きく書かれているのは月額です。読む側もそこを見ますが、1年払う金額は月額の12倍にはなりません。

比較表に書き込むのは、次の5つを足した1年の総額です。

12か月

費用を並べる期間。月額ではなく1年でそろえる

5費目

月謝の外側に乗る費目の数。講習・教材・模試・維持費・入会時の手数料

3

比較表に並べる塾の数。増やすほど埋まらない欄が増える

7項目

1枚の表に置く行の数。これ以上増やすと使いきれない

月謝の外側にある費目

季節講習は、金額の幅がいちばん大きい費目です。学年が上がるほど日数が増え、受験学年では月謝の数か月分に相当する額になる塾があります。案内に「別途」と書かれていたら、その場で概算を聞いてください。

教材費と模試代は、年度初めにまとめて請求される場合と、その都度の場合があります。維持費や施設費という名目の費目は毎月かかることが多く、月謝の表には含まれていません。入会時の手数料は初年度だけですが、複数の塾を比べる年にはこれも総額に入ります。

学年別の相場感や、実際にどの費目でいくら動くのかは費用の専門サイトに譲ります。大手塾の料金を比較した記事に各社の構造がまとまっているので、総額の見当をつけるときに使ってください。

聞き方も決めておくと早く済みます。「年間でいくらですか」と漠然と聞くと、月額の12倍が返ってくることがあります。次の形で聞くと、そのまま表に書き込める数字が出てきます。

  • 「この学年で1年間通った場合、講習も含めた総額はいくらになりますか」──期間と講習を最初の一文に入れます
  • 「月謝のほかに毎月かかるものはありますか」──維持費や施設費はここで出てきます
  • 「来年度に学年が上がると、総額はどれくらい変わりますか」──受験学年の増え方が読めます

形式による費用の高低は順序で押さえる

金額そのものは塾と地域で動きますが、形式による高低の順序は比較的安定しています。低いほうから映像授業、集団指導、個別指導の順です。

この順序を頭に入れておくと、案内の数字が想定から外れたときに気づけます。個別指導なのに集団より安い提示が出てきたら、1対3なのか、1コマが短いのか、どこかに理由があります。安いこと自体は悪くありません。理由を確認しないまま総額だけで選ぶのが危ないだけです。

候補の母集団を自分で作る──検索サイトの一覧は出発点でしかない

候補の作り方は:候補の母集団は、塾の検索サイトの一覧をそのまま使わず、通える範囲の塾を自分で足して作ります。検索サイトに並ぶ塾は掲載の仕組みで決まるため、一覧に出てこない塾が近所にある場合があります。

塾探しの入口として、検索サイトはよくできています。地域と学年で絞り込めて、料金や口コミの欄もそろっている。私も最初はここから入ります。

ただ、一覧に並ぶ顔ぶれは「その地域にある塾の全部」ではありません。

一覧に載る塾は掲載の仕組みで決まる

塾の検索サイトは、塾側が情報を掲載することで成り立っています。掲載していない塾は、どれだけ地域で評判が良くても一覧に出てきません。個人経営の塾や、小規模でも長く続いている塾ほど、この形で抜け落ちます。

一覧の並び順も、評価の高い順とは限りません。ランキングがどう作られるか、口コミ欄の点数が何を母集団にしているかは、読み方を知っていないと誤解します。この部分は口コミサイトの読み方を5基準で整理した記事で詳しく扱っているので、一覧を見る前に一度目を通しておいてください。

「三大塾」「4大塾」といった呼び方も同じです。公的な定義はなく、分野と地域と時代で顔ぶれが入れ替わります。枠の成り立ちは三大塾・4大塾とは何かを整理した記事にまとめました。

通える範囲から自分で候補を足す

母集団を作り直す方法は単純です。自宅と学校から通える範囲を地図で決めて、その範囲にある塾の看板を実際に拾います。通学路、最寄り駅、自転車で15分の円。この3つを歩くと、検索サイトに出てこない塾が2つか3つ見つかります。

拾った塾を検索サイトの一覧と突き合わせて、重複を除いたものが我が家の母集団です。ここから3つに絞ります。

絞るときは、目的に合う形式を持っている塾から順に残します。通いやすさで先に切ってしまうと、目的に合う塾が候補から消えることがあります。片道15分と20分の差は、目的が合っていれば埋められる差です。逆に、近いという理由だけで目的の合わない塾を残すと、3つ並べたときに比べる意味がなくなります。

臨海セミナー──学年とコース単位で比較材料をそろえる

臨海セミナーは:臨海セミナーは、中学生のコースを学年(中1・中2・中3)とコース区分の組み合わせで示し、授業料も学年・コース単位で公開している塾です。比較表の欄を、問い合わせの前に公式サイトである程度まで埋められます。

比較表を作るときに手が止まるのは、たいてい費用の欄です。公式サイトに月額が出ていない塾では、資料請求か教室への問い合わせを経ないと数字が入りません。3塾分そろうまでに2週間かかることもあります。

臨海セミナーの中学生向けページでは、学年を中1・中2・中3から選び、そのうえで高校受験・定期テスト対策、難関高校受験、小中学部、公立トップ校受験、都立トップ校受験、難関国私立高校受験、横浜翠嵐高校受験といったコース区分を選ぶ形になっています(臨海セミナー 中学生/2026年9月時点)。学年と目的の2軸で先に絞られるので、比較表の1行目(対象)はここで埋まります。

費用の欄も、授業料のページが学年とコース単位の月額で示されています。あわせて、登録手数料・維持費・模擬試験代・講座費用・教材費が別途かかる旨が注記されています(臨海セミナー 授業料/2026年9月時点)。

この注記は、比較表を作る側にとっては親切な情報です。月謝の外側に何が乗るのかが先に分かっていれば、他の塾に対しても同じ5費目を聞けばよいと分かります。ひとつの塾の公開情報を、他塾への質問リストに変換できるわけです。

比較の入口としては、無料体験と資料請求、教室検索が公式サイトの上部から入れるようになっています。体験の申し込みと資料請求が別々の導線になっているので、まず資料だけ取り寄せて表を埋め、体験は3塾そろえてから同じ週に入れる、という進め方ができます。

学年をまたいで見られる点も、比較表を作るうえでは扱いやすいところです。中1から中3までのコース区分が同じページに並んでいるので、いま検討している学年だけでなく、通い続けたときに何が変わるのかを先に確認できます。費用は学年が上がるほど動くので、ここを先に見ておくと総額の見当が狂いません。

もちろん、公開されている情報だけで決まるわけではありません。同じチェーンでも教室によって運用は変わりますし、担当者との相性は現地でしか分かりません。ここで言えるのは、比較表の前半の欄を早く埋められる、というところまでです。

塾ごとにコースの切り方が違う──そのままでは横に並ばない

コース区分の違いは:塾ごとにコースの切り方が違うため、公式サイトの区分をそのまま横に並べても比較になりません。志望校レベルで切る塾、学年と講座で切る塾、目的別のオプションで足していく塾があり、同じ名前のコースでも中身が対応しません。

4社の中学生向けページを並べると、切り方の違いがはっきり出ます。この違いを知らずに資料を読み比べると、対応していないもの同士を比べることになります。

湘南ゼミナール──学年ごとの区分と講座の並び

湘南ゼミナールの中学生ページは、最難関公立高校受験クラス、早慶附属高受験指導、難関国私立高受験指導、高校受験・定期テスト対策、中学生の個別指導という並びで区分されています。同じページに中学生の授業料(月額)も置かれています(湘南ゼミナール 中学生/2026年9月時点)。志望校のレベルが上から順に並ぶ形なので、志望校が決まっている家庭は入口を選びやすくなります。

ステップ──神奈川の校舎網とコース一覧

ステップの中学生ページは「学年別対象コース・主な開講講座の一覧表」という形で、学年と講座の組み合わせを一覧にしています(ステップ 中学生のコース一覧/2026年9月時点)。志望校別ではなく学年別に入る形なので、比較表に写すときは学年の行に合わせて読み替えます。

明光義塾──個別指導を目的別に区切る型

明光義塾の中学生ページは、個別指導を土台にして、目的別対策授業や期別講習、英検対策、映像授業といったオプションを足していく構成です(明光義塾 中学生の個別指導/2026年9月時点)。授業料のページには料金の考え方と、条件を入れて試算する授業料シミュレーションが用意されています(明光義塾 授業料について/2026年9月時点)。コースで選ぶというより、必要なものを足した結果として総額が決まる型です。

東京個別指導学院──教室単位で条件が決まる型

東京個別指導学院は、高校生・中学生・小学生それぞれの目的別プランという形で学習プランの例を示しています。授業の振替の扱いや入会金の有無を、よくあるご質問の中で明らかにしている点が、比較表の7行目を埋めるうえで参考になります(東京個別指導学院/2026年9月時点)。授業料と教室の条件は教室単位で確認する形です(東京個別指導学院 授業料/2026年9月時点)。

4社を見ただけで、志望校レベル・学年・目的別オプション・教室単位という4通りの切り方が出てきました。だからこそ、塾側の区分に合わせるのではなく、こちらの7項目に合わせて書き写す必要があります。

塾側の区分を、比較表のどの行に読み替えるか
塾側の切り方先に埋まる行後から聞く行
志望校レベルで切る対象(学年・受験の有無)/定期テスト対策の範囲週の回数と時間/振替と欠席時の扱い
学年と講座で切る対象(学年・受験の有無)/週の回数と時間1年の総額/定期テスト対策の範囲
目的別オプションで足す授業形式と人数/1年の総額の考え方週の回数と時間/定期テスト対策の範囲
教室単位で決まる振替と欠席時の扱い/授業形式と人数1年の総額/教室の場所と通学時間

この対応を頭に入れておくと、資料を読む前に「この塾ではどの行が空欄のまま残るか」が読めます。空欄が残る行は、そのまま面談で聞く項目になります。

比較表を自分で作る──3塾×7項目の1枚に落とす

比較表の作り方は:比較表は、列に3塾、行に7項目を置いた1枚で足ります。対象・授業形式と人数・週の回数と時間・1年の総額・教室と通学時間・定期テスト対策の範囲・振替と欠席時の扱いの7つです。項目を増やすほど埋まらない欄が増え、表として使えなくなります。

ここまでの内容を1枚にまとめます。紙でもスマートフォンのメモでも構いませんが、3塾を横に並べられる形にしてください。縦に3塾分を書き連ねると、比べる動作ができません。

行に置く7項目

  1. 対象(学年と受験の有無)──何年生を対象にしたコースか、受験をする前提かどうか
  2. 授業形式と1クラスの人数──集団か個別か映像か。個別なら講師1人あたりの生徒数まで
  3. 週の回数と1回の時間──週何回で、1回が何分か。科目数もここに書く
  4. 1年の総額と含まれる費目──月謝に講習・教材費・模試代・維持費・入会時の手数料を足した額
  5. 教室の場所と通学時間──自宅または学校からの片道の時間と、帰宅時刻
  6. 定期テスト対策の範囲──通っている中学校ごとに分けるか、全員に同じ教材か
  7. 振替と欠席時の扱い──欠席したときに振替があるか、有料か無料か
比較表のひな型(条件は中2・1年間・週2回・高校受験ありで固定した例)
項目A塾B塾C塾
対象(学年・受験の有無)
授業形式と1クラスの人数
週の回数と1回の時間
1年の総額と含まれる費目
教室の場所と通学時間
定期テスト対策の範囲
振替と欠席時の扱い

合格実績をこの表に入れていないのは、同じ条件で並ばない項目だからです。母数も、上位クラスだけの数字かどうかも、塾によって出し方が違います。規模や実績の読み方は学習塾業界の最大手を5つのものさしで読み解いた記事にまとめてあるので、表とは別に読んでください。

埋まらないセルは空欄のまま持っていく

公式サイトと資料で埋まるのは、7項目のうち4つか5つです。残りは空欄のまま残ります。

ここで焦って推測で埋めないでください。空欄は、この先に聞くべきことの一覧です。3塾分の空欄を見比べると、どの塾で何が分からないままなのかが見えます。埋まらない欄が多い塾ほど、面談で確認する時間が長くなります。

空欄の位置にも意味があります。費用の欄だけが埋まらないのか、欠席時の扱いまで分からないのか。後者は、入塾後に起きることの説明が資料に用意されていないという情報です。良し悪しではなく、聞く順番を決める材料として使ってください。

表が埋まったら、重く見る行を2つ決める

7項目すべてを同じ重さで見ると、結局どれも決め手になりません。埋め終わったところで、我が家にとって重い行を2つだけ選んでください。

共働きで送り迎えが難しいなら教室の場所と通学時間、家計の見通しを優先するなら1年の総額、本人が質問できないことが課題なら授業形式と人数。ここで選んだ2行は、迷ったときに戻る基準になります。残りの5行は、2行が並んだときの差を見るために使います。

2行を選べないときは、目的がまだ絞れていません。最初の3点に戻ってください。

口コミを5基準(具体性・立場・鮮度・温度・一致)でふるい、塾を5軸(授業・面倒見・費用・実績・立地)で確かめる二段構えの塾選びメソッド『佐藤メソッド』の書籍カバー。3人の子と8つの塾を経験した母親・佐藤 真由美によるKindle出版書籍

『佐藤メソッド ── 3人の子と8つの塾を経験した母が本音で評価』

佐藤 真由美(日本進学教育研究機構認定 保護者教育アドバイザー)

本書の第3章では、塾を評価する前に「比べられる状態を作る」ことに1章を充てています。パンフレットの数字をそのまま並べても差が出ないのはなぜか、条件をそろえるとは具体的に何をそろえることなのかを、我が家で実際に作った表とともに書きました。

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空欄は体験と面談で埋める──比較表を持って行く

空欄の埋め方は:比較表の空欄は、体験授業と面談で埋めます。表を印刷して持って行き、その場で書き込むと、塾側の説明の順番に引きずられずに必要な情報だけを取れます。手ぶらで行くと、聞くはずだったことが後から出てきます。

体験授業に行くと、たいてい塾側が用意した順番で説明が進みます。良い説明ほど流れがきれいなので、聞きたかったことを聞かないまま終わります。私は3人目のときにようやく、表を印刷して持って行くようにしました。

1

空欄に印をつけてから行く

3塾分の表を並べ、埋まっていないセルに印をつけます。この印の数が、その塾で聞く質問の数です

2

授業中は子どもの様子だけを見る

授業の質は大人には判定しづらいので、子どもが手を動かしているか、質問できているかだけを見ます

3

面談で空欄を順に聞く

印をつけたセルを上から順に聞き、その場で書き込みます。答えが曖昧だった欄には、曖昧だったと書いておきます

4

帰宅後に子どもの感想を1行で記録する

「先生が面白かった」でも構いません。3塾分を並べたときに、本人の反応の差が出ます

5

3塾そろってから決める

1塾目で好感触でも、その場で決めないでください。比べる相手がそろってはじめて、表は判断材料になります

面談で聞いたことは、口コミで読んだ内容と食い違うことがあります。そのときは、どちらが正しいかではなく、いつの・どの教室の話かで整理してください。5基準と5軸を使った二段構えの考え方は佐藤メソッドの解説記事にまとめています。

  • 担当してくれた講師が、入塾後も担当するか──体験だけベテランが出てくる場合があります
  • 教室長が替わる予定があるか──運用は教室長で変わります。年度の切り替え前後は特に確認を
  • 合わなかったときにやめられる条件──退会の申し出をいつまでにすればよいか

体験と面談で出てくる兆候のうち、中学生に絞った見分け方は中学生におすすめの塾を目的から整理した記事にまとめています。選んではいけない塾の特徴も、そちらで具体的に扱いました。

面談でその場では答えが出ない項目もあります。教室長の異動や来年度の時間割は、確定していないことのほうが多い。そのときは「いつごろ分かりますか」まで聞いて、日付を表に書いてください。答えが出ないこと自体は問題ではなく、いつ分かるかを言えるかどうかが見どころです。

決めたあとも、この表は捨てないでください。半年後に「思っていたのと違う」と感じたとき、何を期待して選んだのかが書いてあります。重く見た2行が実際にどうだったかを見直すと、続けるか変えるかの判断が早くなります。

よくある質問

Q.学習塾の比較は、何から手をつければいいですか?

学習塾の比較は、授業形式・通塾の目的・1年の総額の3点を決めるところから始めます。目的が決まると向く形式が絞られ、形式が絞られると価格帯が読めるので、この順に進むと候補は3つ程度まで減ります。塾の名前から入ると候補が増え続け、条件のそろっていない資料を並べることになります。3点を決めたあとで、学年・期間・週の回数・受験の有無という4つの条件を固定してください。条件を固定してから資料を読み直すと、同じ資料から拾う数字が変わります。

Q.良い塾と悪い塾の見分け方は?

良い塾と悪い塾は、看板や規模ではなく、条件をそろえた比較表で見分けます。同じ7項目を聞いたときに、費用の内訳・欠席時の扱い・担当者の替わり方まで具体的に答えられる塾と、答えをはぐらかす塾では、入塾後の対応も同じように分かれます。とくに、答えが出せない理由を説明してくれるかどうかは見ておく価値があります。口コミは具体性・立場・鮮度・温度・一致の5基準でふるってから使ってください。選んではいけない塾の具体的な兆候は、中学生向けにまとめた記事で扱っています。

Q.比較サイトの情報だけで決めても大丈夫ですか?

比較サイトの情報だけで決めると、候補の母集団が欠けたまま結論を出すことになります。塾の検索サイトに並ぶのは掲載している塾で、掲載していない地域の塾は一覧に出てきません。通学路と最寄り駅、自転車で15分の範囲を実際に歩いて、看板を拾ってから一覧と突き合わせてください。比較サイトは候補を探す出発点として使い、最後の判断材料にはしないほうが安全です。

Q.塾は何社くらい比較すればいいですか?

比較する塾は3社が目安です。4社以上に増やすと、埋まらない欄が増えて表として使えなくなり、比べること自体が目的になっていきます。体験授業は1回あたり1時間から2時間かかるので、4社を回ると日程だけで1か月が過ぎます。目的と形式と価格帯を先に決めておけば、候補はもともと3つ前後に絞られます。3社で決まらなかったときは、比較の仕方ではなく、目的が2つ以上あることを疑ってください。

Q.費用はどこまで含めて比べればいいですか?

費用は月謝に、季節講習・教材費・模試代・維持費・入会時の手数料の5費目を足した1年の総額で比べます。月額だけで並べると、講習の日数が多い塾ほど実際との差が開きます。学年が上がるほど講習の比重が増えるので、いま検討している学年ではなく、通い続ける想定の学年まで含めて概算を聞いてください。金額の水準そのものは費用の専門サイトに詳しくまとまっています。

Q.オンラインの塾も同じ項目で比べられますか?

オンラインの塾も同じ7項目で比べられます。ただし5番目の「教室の場所と通学時間」は、通塾時間ではなく受講する場所と時間帯の確保に読み替えてください。自宅のどこで、何時から受けるのかが決まっていないと、時間の自由という利点がそのまま続かない理由に変わります。進捗を誰が確認するのかも、通塾型より重い項目になります。

Q.比較表に入れる情報は、どこから集めればいいですか?

比較表の情報は、公式サイト・資料請求・体験と面談の3か所から集めます。対象学年やコース区分、授業料の目安は公式サイトで取れることが多く、コマ数ごとの実際の金額や教室の状況は資料請求で届きます。担当講師の替わり方、欠席時の運用、増コマの提案時期は、面談で聞かないと出てきません。どの欄をどこで埋めるかを先に決めておくと、二度手間が減ります。

Q.資料を取り寄せただけで比較を終えてよいですか?

資料だけで比較を終えると、教室ごとの運用差が抜け落ちます。同じチェーンでも、教室長と講師の顔ぶれで面倒見の実態は変わるため、資料に書かれた仕組みがそのまま届くとは限りません。比較表に空欄が残った状態で体験授業と面談に行き、その場で埋めてください。空欄がそのまま質問リストになります。

まとめ

学習塾の比較は、授業形式・目的・1年の総額の3点をそろえるところから始まります。この3点が決まると、候補は3つ前後まで自然に絞られます。

条件は学年・期間・週の回数・受験の有無の4つで固定してください。固定せずに並べた資料から出てくる差は、塾の差ではなく条件の差です。費用は月謝ではなく、季節講習・教材費・模試代・維持費・入会時の手数料を足した1年の総額で並べます。

候補の母集団は、検索サイトの一覧に通える範囲の塾を足して作ります。塾ごとにコースの切り方が違うので、塾側の区分ではなく、こちらの7項目に合わせて書き写してください。臨海セミナーのように学年とコース単位で区分と授業料が公開されている塾は、表の前半を早く埋められます。

最後に残った空欄は、体験と面談で埋めます。空欄は分からなかったことではなく、これから聞くことの一覧です。3塾分の表が埋まったとき、決めるのはランキングではなく、あなた自身の目になります。

この記事を書いた人

3人の子ども(中学受験・高校受験・大学受験)の受験を通じて、通算8つの学習塾を保護者として経験。「口コミは入口にすぎず、決めるのは自分の目である」を判断哲学に、口コミを5基準でふるい、塾を5軸で確かめる「佐藤メソッド」で学習塾を本音で評価しています。

口コミを5基準(具体性・立場・鮮度・温度・一致)でふるい、塾を5軸(授業・面倒見・費用・実績・立地)で確かめる二段構えの塾選びメソッド『佐藤メソッド』の書籍カバー。3人の子と8つの塾を経験した母親・佐藤 真由美によるKindle出版書籍

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