転塾の判断は:転塾の判断は、いま起きている不調の原因が塾側にあるのか、家庭の勉強のしかたや本人の状態にあるのかを切り分けるところから始めます。原因が塾側にあると分かってから、変える前にできる手当てを試し、それでも動かないときに転塾を決めます。順番を飛ばして塾だけ替えると、同じことが次の塾でも起きます。
「合っていない気がするんですけど、替えたところで同じかもしれなくて」
転塾の相談で、いちばん多く聞く言葉です。替えたい気持ちと、替えても変わらないのではという不安が、同時にあります。私自身、3人の子どもを育てるあいだに8つの塾を経験しました。そのうち2回は転塾で、1回は正解、もう1回は失敗でした。
失敗したほうは、原因を言葉にしないまま動いた回でした。「なんとなく合わない」で替えた先で、まったく同じ理由でつまずきました。成功したほうは、何が崩れているのかを先に書き出し、いまの塾に申し入れ、それでも直らないと分かってから動いた回です。
この記事では、原因の切り分け方、転塾では解決しない状態、変える前に試せる4つの手当て、動く時期、退塾の申し出と費用の精算、いまの塾への切り出し方までを順に整理します。替えるかどうかを決めるための記事であり、替えると決めたあとに困らないための記事でもあります。
この記事の要点
- 転塾の判断は、原因が塾側にあるか家庭や本人側にあるかの切り分けから始まる。切り分けずに替えると同じことが繰り返される
- 合わないと感じる原因は、授業のレベルと速さ・課題の量・講師との相性・教室の環境と通う負担の4つに分かれる
- 復習が手つかず、授業に頭が向いていない、求めるものを本人と共有できていない、通い始めて日が浅い──この4つは塾を替えても動かない
- 変える前に試せる手当ては、クラスやコースの変更、担当講師の交代、曜日とコマ数の調整、科目と形態の組み替えの4つ
- 動く時期はカリキュラムの区切りに合わせる。新学年の直前と季節講習の前が入りやすく、受験の直前期は避ける
- 臨海セミナーのように学年と期間で授業料の単位が公式に示されている塾は、年度の途中で移るときの区切りを先に読める
- 体験の条件は塾ごとに違う。無料体験の期間、面談の入れ方、入会後に解約できる期間まで確かめてから決める
- 学習塾の契約には特定商取引法の定めがあり、書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフと中途解約が認められている
- いまの塾への切り出し方は、不満ではなくこれからどうしたいかで伝える。次が決まっている状態で話すと引き止めが長引かない
| 家庭で見えている状態 | まず疑う場所 | 最初にやること |
|---|---|---|
| 授業の内容を説明できない | 授業のレベルと進む速さ | クラスやコースの変更を相談する |
| 宿題が終わらず睡眠が削れている | 課題の量と通塾のペース | 曜日・時間帯・コマ数を調整する |
| 質問しないまま帰ってくる | 講師との相性と質問の導線 | 担当講師の交代を相談する |
| 通うこと自体を渋る | 教室の環境と通う負担 | 教室での様子を面談で確かめる |
| 家庭での復習が止まっている | 家庭側の運用 | 塾を替えても動かない。先に家庭を整える |
目次
転塾の判断は、原因が塾側にあるかどうかの切り分けから始まる
切り分けの基準は:転塾の判断は、同じ状態が塾を替えても起きるかどうかで切り分けます。塾の仕組みが原因なら替えれば変わり、家庭の運用や本人の向き合い方が原因なら替えても変わりません。この判定を先にしないと、費用と時間だけが増えます。
転塾を考え始めるとき、頭の中にあるのは「この塾でいいのか」という問いです。でも、その問いのまま動くと答えが出ません。塾を替えるという手段が、いま起きていることに効くかどうかが分からないままだからです。私が使っているのは次の2つの問いで、どちらも家で5分あれば答えが出ます。
問い1で原因が塾の外にあると出たなら、転塾は後回しにしてください。家庭の運用を先に直したほうが結果は早く出ます。問い2で伝えていないと出たなら、伝えるところから始めます。伝える内容は4つ目の見出しにまとめました。
どのくらい様子を見てから判断するか
期間の目安を決めずに様子を見ると、様子見は先送りに変わります。私は手当てを申し入れてから3か月から4か月を区切りにしています。塾の指導が学力に届くには時間がかかるので1か月や2か月では判定できず、半年以上そのままにすると動ける時期を逃します。
この期間で見るのは、テストの点数ではありません。点数はほかの要因でも動きます。見るのは、家で「今日やったことを説明できるか」を尋ねたときの反応です。説明が返ってくるようになっていれば手当ては効いています。3か月から4か月たっても白紙のままなら、その塾の授業は届いていません。
期間の途中でも動いていい場合があります。子どもが教室に行くこと自体を強く拒むようになったときです。学力の問題ではなく、通い続けること自体が消耗になっている合図なので、区切りを待たずに面談を入れてください。
判断に特別な物差しは要りません。入塾を決めたときに見た項目を当て直すだけです。授業が届いているか、つまずきに誰が気づくか、費用が想定から離れていないか、我が子自身が変わったか、通う負担が生活に収まっているか。この5つを当て直す手順は佐藤メソッドの解説記事で扱っています。

『佐藤メソッド ── 3人の子と8つの塾を経験した母が本音で評価』
本書では、入るときの判断と、入ったあとの見直しに同じ5軸を使う理由を書きました。物差しを変えてしまうと、前の塾と次の塾を比べられなくなります。転塾でつまずく家庭の多くは、判断の道具を持ち替えてしまっています。
塾が合わないと感じる4つの原因──どこが崩れているのかを言葉にする
合わない原因は:塾が合わないと感じる原因は、授業のレベルと進む速さ、課題の量、講師との相性、教室の環境と通う負担の4つに分かれます。どれが崩れているかを言葉にすると、塾に申し入れる内容も、次の塾で確かめる項目も決まります。
「合わない」という言葉のままでは、塾に伝えることも、次の塾で何を確かめるかを決めることもできません。まず4つのどれなのかを決めてください。2つ以上あるときは、いちばん生活を圧迫しているものを先に選びます。
授業のレベルと進む速さが、いまの学力とずれている
もっとも多い原因です。難しすぎて追いつけない場合と、易しすぎて時間がもったいない場合があり、どちらも「授業を説明できない」という同じ形で現れるため、家では区別がつきません。
見分け方は、塾のテキストを開いて最初の問題を解かせてみることです。手が止まるなら難しすぎ、あっさり解いて退屈そうなら易しすぎです。集団指導ではクラスが学力帯で分かれていることが多いので、この時点でクラス変更の相談材料がそろいます。
志望校のレベルと塾のレベルがずれている場合も、この型です。学力は上がっているのに志望校の出題傾向に演習が届いていないという相談は、中3と高2で増えます。志望校の水準から対策を逆算する考え方は志望校のレベルと塾の使い方をまとめた記事が参考になります。
宿題と課題の量が、家庭の時間に収まっていない
塾の課題をこなすだけで一日が終わり、学校の提出物や復習に手が回らない状態です。真面目な子ほど深くはまります。量が多いこと自体ではなく、いまの生活時間に収まっていないことが問題です。
この型は数字で確かめられます。1週間、塾の課題にかかった時間を毎日メモしてください。部活のある日に2時間を超えているなら、量を調整する相談ができます。次男のときは平日の平均が2時間40分で、これを見せたら教室長から科目ごとの優先順位を示してもらえました。
講師との相性と、質問できるかどうか
教え方、話し方、叱り方。相性は理屈で決まらないので、合わないときは合いません。ただ、相性より先に確かめてほしいのは、質問できているかです。
質問が出ない理由は2つに分かれます。聞きにくい相手だから聞かないのか、何が分からないかを自分で特定できないから聞けないのか。前者なら担当の交代で変わります。後者は講師を替えても変わらないので、分からない箇所を洗い出す作業を家庭か塾で組み込む必要があります。
教室の雰囲気と、通う負担
周りの生徒が騒がしい、人間関係に入りにくい、教室が遠くて帰宅が遅い。学力の話ではないぶん、保護者に伝わるのが遅れる型です。
通う負担は、生活の変化で後から発生します。進級して部活が増えた、引っ越しで経路が変わった、下の子の習い事と重なった。入塾時には成立していた導線が、いまは成立していない例はよくあります。教室の場所や曜日を変えられるなら、転塾より先に試す価値があります。
なお、講師の入れ替わりが激しい、面談の約束が守られない、料金の説明が毎回変わるといった状態は、相性ではなく塾の運営そのものの問題です。こうした兆候は中学生向けの塾選びの記事で挙げているので、当てはまるものがないか確かめてください。
転塾では解決しないケース──先に外しておく4つの状態
替えても変わらないのは:転塾で解決しないのは、家庭での復習が止まっている状態、授業に体だけ出ている状態、次の塾に何を求めるかが本人と共有できていない状態、そして通い始めて成果が出るだけの時間が経っていない状態の4つです。
これから挙げる4つは、塾を替えても同じ結果になります。先に外すと、転塾が効く場面だけが残ります。
家庭での復習が手つかずのまま残っている
授業を受けた日から次の授業までのあいだに、テキストを一度も開いていない状態です。この状態では、どの塾に移っても定着しません。塾は理解の入口を作りますが、定着させるのは授業の外の時間だからです。
まず、週に2回でいいので復習の時間を固定してください。そこが動き出してから3か月見て、それでも動かないときに授業の側を疑う順番になります。
授業に出てはいるが、頭が動いていない
出席率は100%なのに、ノートが板書の写しだけで終わっている状態です。手は動いていても、考える作業が起きていません。個別指導に替えれば解決すると考えがちですが、講師が横についても本人が考えないままなら、答えを写す時間が増えるだけです。
体験授業に行ったときに、子どもが1回でも自分から口を開くかどうかを見てください。どの形式でも口が開かないなら、形式の問題ではありません。
次に何を求めるかが、本人と共有できていない
保護者は「もっと伸ばしたい」、本人は「宿題を減らしたい」。目的が違ったまま塾だけ替えると、次の塾でも同じずれが出ます。私が失敗した1回はこれでした。移る前に、次の塾で何が変わるはずなのかを子どもの言葉で言えるところまで話してください。言えないなら、まだ替える段階ではありません。
通い始めてから、まだ成果が出るだけの時間が経っていない
入塾して1か月や2か月で判断している状態です。最初の数週間は教材にも進度にも慣れる時間が要り、ここで替えると慣れる時間だけを何度も払うことになります。入塾から3か月は、成績ではなく「授業の内容を説明できるか」で様子を見てください。ただし体調を崩している、教室に行くのを強く拒む場合は、期間に関係なく面談を入れます。
4つのどれにも当てはまらず、原因が塾側にあると分かったなら、転塾の検討に入る段階です。ただし、すぐに次の塾を探さないでください。順番としては、まだ一つ手前があります。
変える前に試す4つの手当て──いまの塾に申し入れられること
試せる手当ては:転塾を決める前にいまの塾へ申し入れられる手当ては、クラスやコースの変更、担当講師の交代、曜日と時間帯とコマ数の調整、科目と形態の組み替えの4つです。多くの塾はこの4つに対応する窓口を持っていて、申し出れば検討されます。
この4つは、転塾に比べて費用も負担もはるかに小さい選択肢です。それでも試されないまま転塾に進む家庭が多いのは、申し入れていいと思われていないからです。塾は契約したサービスなので、条件の見直しを申し出て構いません。
申し入れられる4つの手当て
- クラスやコースを変えられないか相談する──授業のレベルと速さが合わないときの第一手
- 担当講師の交代を相談する──個別指導では担当が固定されることが多く、相性が成果に直結します
- 通う曜日・時間帯とコマ数を調整する──量と導線の負担を下げる手
- 科目を絞る、形態を組み替える──同じ塾の中で形を変えられる場合があります
クラスやコースを変えられないか相談する
授業が難しすぎる、または易しすぎるときの最初の一手です。集団指導の塾では同じ学年に複数のクラスが置かれ、学力帯で分かれていることが多くあります。下のクラスに移ることを「落ちる」と感じる保護者は多いのですが、届かない授業を1年受けるより、届く授業を1年受けたほうが結果は出ます。
相談するときは、感想ではなく状態を渡してください。「難しいみたいです」ではなく「先週の単元を家で説明させたら3回とも答えられませんでした」と伝えると、塾側もクラス変更を提案しやすくなります。
クラス替えの基準と頻度は塾によって大きく違います。定期テストで自動的に入れ替わる塾もあれば、申し出がないと動かない塾もあるので、この機会に確かめておいてください。
担当講師の交代を相談する
個別指導では担当講師が成果の大部分を決めます。相性が合わないまま続けるより、交代を申し出たほうが早く動きます。言い出しにくいと感じる保護者は多いのですが、担当の交代は多くの塾で想定されている手続きです。
伝え方は人柄を否定しない形にします。「先生が合いません」ではなく「本人が質問を出せていないので、別の先生も試したい」と伝えると、塾側にとっても扱いやすく、次の担当を選ぶ材料になります。
ただし、質問が出ない理由が「何が分からないかを特定できない」側にあるなら、講師を替えても状態は変わりません。交代を申し出る前に、どちらなのかを一度考えてみてください。
通う曜日・時間帯とコマ数を調整する
課題の量が生活を圧迫しているときは、量より先に通う日の配置を見直すほうが効く場合があります。部活のある日に塾が重なっていると、同じ量でもこなせません。
曜日を変えると、教室にいる生徒と講師の顔ぶれも変わります。教室の雰囲気になじめないという相談では、曜日の変更だけで落ち着くことがあります。費用が増えない点でも軽い選択肢です。
コマ数を減らす相談は言い出しにくいところですが、続けられない量で契約を維持するより、続けられる量に戻したほうが結果は出ます。減らしたぶんを家庭学習に回す計画まで示せると、塾側も前向きに扱ってくれます。
科目を絞る、形態を組み替える
5科目を受けていて2科目だけが崩れているなら、その科目を個別に移す組み替えができます。集団と個別を同じ系列で組み合わせられる塾なら、塾ごと替えずに形を変えられます。ただし集団から個別へ移すと1コマあたりの単価が変わるため、同じ科目数でも総額が動きます。集団指導と個別指導の費用を比べた記事に内訳があるので、相談前に目安を持っておくと話が早くなります。
どの形態が向いているのかから見直したいときは、塾はどこがいいかを3つの入力で判定する記事を先に通すと、組み替えの方向が決まります。
申し入れて塾が動いてくれたなら、そこから3か月から4か月は様子を見てください。申し入れたのに検討もされない、約束された変更が実行されないという対応が続いたときは、その塾で直る見込みは低いと判断して構いません。面倒見の軸が崩れているからです。
動く時期を決める──カリキュラムの区切りと、避ける時期
動く時期は:転塾の時期は、塾のカリキュラムの区切りに合わせます。新学年が始まる直前と、季節講習が始まる前が入りやすい区切りです。反対に、受験の直前期は教材と進度が一度に変わるため避けます。
転塾で損をしやすいのは、進度の差を埋める時間です。塾ごとに単元の順番が違うため、途中で移ると、前の塾でやっていない範囲と二度目になる範囲が同時に発生します。この差が小さい時点で動けば、移行の負担は軽くなります。
区切りになるのは新学年の直前と季節講習の前
多くの塾は学年の切り替わりでカリキュラムを組み直します。ここで移れば前の塾との進度差はほぼ生じず、新しいクラスが同時に始まるため、途中から入ったという感覚も残りにくくなります。
もう一つの区切りが春期・夏期・冬期の講習です。講習は通常授業とは別枠で申し込む形が多く、そこだけを受けて授業の進め方と教室の雰囲気を確かめられます。合えばそのまま通常授業へ、合わなければ見送るという使い方ができ、体験授業より長い時間を見られます。
講習の途中から通常授業に合流できるかどうかは塾によって違います。学年の途中から入った場合に既習範囲をどう埋めるのかは、面談で具体的な計画として説明してもらってください。途中から入って合流できる仕組みの見分け方は中学生の塾をいつから始めるかを扱った記事で詳しく書いています。
受験までの残り期間から逆算する
もう一つの軸が、受験までにどれだけ残っているかです。移った先で成果が出るまでには、進度差を埋める時間と新しい進め方に慣れる時間が要ります。私の経験では合わせて3か月前後です。残り3か月を切って動くと、慣れ終わる前に本番が来ます。受験学年でも入試の3か月以上前なら選択肢に入り、それより後は慎重に考える、という線です。中学生と高校生では受験の時期が違うので、学年ではなく本番から逆算してください。
高校生の場合は、一般選抜・推薦や総合型・定期テストのどれを主目的にするかで、動ける時期が変わります。総合型を視野に入れているなら、出願の準備が始まる前が区切りです。高校生の目的別の考え方は高校生におすすめの塾を目的別に整理した記事にまとめています。
受験の直前期に動かないほうがよい理由
直前期の転塾を避けるのは、教材・進度・講師・通学経路が一度に変わるからです。ふだんなら吸収できる変化でも、直前期には負荷になります。本人の心理面への影響もこの時期は大きく出ます。
ただし例外はあります。教室に通うこと自体が強い負担になっている場合、そのまま直前期を過ごすほうが損失は大きくなります。転塾ではなく、いったん通塾を止めて家庭と学校で乗り切る選択も含めて考えてください。
臨海セミナー──学年の途中で移るとき、費用と講座の区切りがどこに来るか
費用の区切りは:臨海セミナーは、中学生の授業料を学年と期間の単位で公式サイトに示しています。学年の途中で移る場合、この区切りがそのまま費用の切り替わり点になるため、いつまでに動くかを先に読むことができます。
転塾先の候補を見るとき、私が先に確かめるのは費用がどの単位で動くかです。月ごとの月額か、期間ごとの一括かで、年度の途中から入るときの負担がまるで変わります。ここが公式に示されている塾は、移る時期を計算できます。
中学生の授業料は、学年と期間で単位が変わる
臨海セミナーの公式サイトによると、中学生(神奈川教室)の授業料は次の区分で示されています。金額はいずれも税込です。
| 学年・期間 | 科目数 | 表示されている金額 |
|---|---|---|
| 中1 | 3教科 | 月額 17,930円 |
| 中2 | 5教科 | 月額 25,300円 |
| 中3(4月〜7月) | 5教科 | 月額 25,300円 |
| 中3(9月〜12月) | 5教科 | 月額 29,700円 |
| 中3(1月〜3月) | 5教科 | 入試直前最終特訓講座として一括 53,240円 |
読めることが2つあります。中3の9月から授業料の水準が上がること、そして1月から3月が月額ではなく一括の講座に切り替わることです。臨海セミナー 授業料のページで確認できます。
一括の講座に切り替わったあとに移るのは、費用の面でも進度の面でも動きにくくなります。中3で候補に入れるなら、実務的な区切りは12月までです。前の見出しで書いた「本番から3か月前」という逆算とも、ここはほぼ重なります。
なお、授業料とは別に登録手数料・維持費・模擬試験代・講座費用・教材費がかかると公式に注記されています。転塾ではこれらが移った先で改めて発生するため、月額だけを前の塾と比べると初年度の総額を読み違えます。神奈川以外は授業料が異なるので、通う予定の教室の地域で確かめてください。
体験の条件と、入ったあとに変えられる範囲
臨海セミナーは公式のよくある質問で、まず授業見学や無料体験授業をすすめると案内しています。転塾の検討では、この体験が判断材料になります。
ただし条件が一つあります。公式サイトの注記によると、臨海セミナー・セレクトで1年以内に授業を受けた方は無料体験授業の対象外です。過去に同じグループの個別指導を利用した家庭は、体験を前提にした検討ができない場合があります。転塾の検討に直接ひびくので、教室に問い合わせて扱いを確かめてください。
入ったあとの調整については、公式のよくある質問にコースや受講科目を途中で変更できると明記されています。4つの手当てのうち、コース変更と科目の絞り込みを塾を替えずに申し出られるということです。集団授業のクラス人数は平均20名、個別指導は講師1名・生徒2名と案内されています。
候補に入れる場合に確かめる3点
デメリットも書いておきます。集団指導が主軸なので、進度に乗れないまま入ると前の塾と同じ状態になりかねません。授業のレベルと速さが転塾の原因だった家庭は、クラス編成の基準を面談で必ず確かめてください。逆に、カリキュラムに乗れば進度が保たれる点は、家庭で管理しきれなくなった家庭に効きます。
他の塾はどうか──移る前に確かめられる体験と面談の条件
確かめ方は:転塾先を決める前に確かめられる手段は、無料体験の期間、面談の入れ方、入会後に解約できる期間の3つです。塾によって条件が違うため、同じ項目で並べると、どこまで試してから決められるかが見えます。
一度合わない塾を経験した家庭ほど、次は試してから決めたいと考えます。体験の作り方は塾ごとに違うので、条件を先に見てから回る順番を決めてください。公式サイトで確認できる3社を並べます。
湘南ゼミナール──1ヵ月の無料体験を面談ではさむ
湘南ゼミナールの体験授業の案内によると、体験は事前面談・授業・事後面談という流れで組まれています。事前面談で学習目的や課題を伝え、体験期間でそれを解決するステップを提案する設計です。
授業は授業・宿題・小テストというサイクルを一定期間続けて体験する形で、同ページでは1ヵ月無料体験を受け付けていると案内されています。体験後の入会は強要しないとも明記されています。1回の授業では分からない宿題の量と定着の具合まで確かめられる点が、転塾の検討に向いています。
明光義塾──無料体験と、入会後8日以内のクーリング・オフ
明光義塾の授業料のページには、無料体験授業を実施していること、教室長によるカウンセリングで学習プランと授業料を案内することが記載されています。
同じページに入会申し込み後の扱いも書かれています。クーリングオフ制度により申込日を含めて8日以内であれば契約を解除できるとしたうえで、実際に通い始めてから向き不向きが分かるケースもあるため、と理由まで添えられています。欠席時の振替制度も記載されています。前の塾で相性の判断を誤った家庭には、入ったあとに引き返せる期間が示されていることが判断材料になります。
東京個別指導学院──講師の希望を相談でき、振替が無料
東京個別指導学院の公式サイトには、子どもの性格や状況に合わせて講師を選ぶこと、ただし希望する先生の担当状況によっては相談させてもらう場合があることが記載されています。担当を選ぶ余地を明示している点は、講師との相性が転塾の原因だった場合に効きます。
あわせて、連絡による無料振替について、振替回数に制限はないが振り替えできる期間などに制限があると案内され、定期的な保護者面談で学習計画を作成することも記載されています。部活や学校行事で通塾のペースが崩れていた家庭は、この振替の条件を前の塾と比べてみてください。
3社とも条件の細部は教室ごとに異なると注記されています。公式の案内は候補を絞るまでの材料と考え、条件は通う教室で確認してください。公式の説明と口コミが食い違うときの読み分け方は口コミサイトの読み方をまとめた記事で扱っています。
退塾の申し出と費用の精算──契約書面で先に確かめること
申し出の前に見るのは:退塾を申し出る前に確かめるのは、契約書面に書かれた中途解約の条件です。いつまでに申し出ればどの月まで費用が発生するかは契約ごとに決まっており、学習塾の契約には特定商取引法にもとづく解約のルールも定められています。
転塾で後悔が残りやすいのは費用の精算です。申し出る時期が1日ずれただけで1か月分が変わる、教材費が返らないといったことが、後から分かります。申し出る前に手元の書類を出してください。
先に次を決める。順序を逆にしない
段取りの順番は決まっています。逆にすると、指導が止まる空白期間ができます。
次の候補で体験を受ける
いまの塾に在籍したまま候補の体験授業や講習に参加します。合わなければ今の塾に残る判断ができます
次の塾の入塾時期と費用を確定する
いつから通えるか、初年度にいくらかかるかを書面で受け取ります。決まるまで退塾の話はしません
いまの塾の契約書面を読み返す
中途解約の欄で申し出の締切と精算の条件を確かめます。見つからないときは教室に問い合わせます
締切に間に合う日に、退塾を申し出る
次の塾の開始日といまの塾の最終日を調整します。数日重なるぶんには問題ありません
空白期間を作らないことを優先してください。1か月空けると学習の習慣まで一度切れます。数日から1週間ほど重なるのは、移行の期間として問題になりません。
次の候補を同じ条件で並べ直すときは、学習塾を同じ条件で比較する記事の7項目が使えます。前の塾の欄が埋まっているぶん、初回の塾選びより早く終わります。
申し出の締切は、契約書面の中途解約の欄に書かれている
退塾の申し出の締切は塾ごとに違います。当月の指定日までに申し出れば当月末で終了という形が一般的ですが、翌月分まで発生する定めのこともあります。口頭の確認だけでは後から食い違うので、書面の記載を確かめてください。
書類が見当たらないときは、教室に「中途解約の条件が書かれた書面をもう一度いただきたい」と伝えれば済みます。この時点で退塾の意思を伝える必要はありません。あわせて確かめておくのは、次の3点です。
学習塾の契約には、特定商取引法で決まった解約のルールがある
知らないまま損をしやすいところなので、制度の枠組みを書いておきます。消費者庁の特定商取引法ガイドによると、学習塾は「特定継続的役務」の一つです。対象は、契約期間が2か月を超え、かつ入学金・受講料・教材費などを含めた契約金額の総額が5万円を超えるものです。
対象になる契約では、次のことが定められています。
注意点もあります。月ごとに契約し、いつでも違約金なくやめられる塾の場合、契約期間が2か月を超えないためこの枠組みの対象にならないことがあります。一方で年間分の教材を最初に購入する形などでは対象になる場合があります。自分の契約がどちらかは契約書面で確かめ、迷うときはお住まいの自治体の消費生活センターに相談できます。
この制度を知っておく価値は、返金の額そのものより、精算の説明に納得できないときに何を基準に確かめるかが分かる点にあります。
いまの塾への切り出し方──不満ではなく、これからどうしたいかで伝える
伝え方は:いまの塾への切り出し方は、不満を並べるのではなく、これからどうしたいかを伝える形にします。次の方針が決まっている状態で話すと、引き止めが長引かず、残りの期間も気まずくなりません。
退塾を伝えるのは気が重い作業です。お世話になった相手に、合わなかったと言うことになるからです。ただ、伝え方を整えておけば消耗しません。私が2回の転塾で使ったのは、次の考え方です。
理由は、前向きな言い方に置き換えられる
不満をそのまま並べる必要はありません。塾側も詳細な理由を求めてくるとは限りません。伝えるのは、これからどうするかだけで足ります。
改善してほしい点があるなら、それは退塾の連絡ではなく、手当ての申し入れとしてもっと早い段階で伝えることです。順番が逆になると、塾側は改善の機会がないまま責められたと受け取ります。
引き止められたときにどう答えるか
引き止めは塾側の仕事として起きます。悪意ではありません。ただ、話が長引くと決めたはずのことが揺れます。長引かせない方法は、次の予定が決まっている状態で伝えることです。「次の塾の体験まで終えて、〇月から通うことにしました」と言えると、検討の段階ではないことが伝わります。段取りで次を先に決めておく理由でもあります。
代案を提案されたときは、その場で返事をせず「持ち帰って考えます」で区切ります。ただし、提案がこちらのずっと申し入れていた手当てそのものだった場合は、一度考える価値があります。申し入れが担当者に届いていなかっただけということもあるからです。
挨拶や手土産は必要か
必要ありません。退塾は契約の終了であり、儀礼が求められる場面ではありません。手土産は、感謝を伝えたい気持ちがあるかどうかだけで決めてください。持って行かないことで扱いが変わることはありません。
伝える手段は電話でも面談でも構いません。塾によっては所定の用紙を求められるので、最初の連絡で手続きの方法を確かめてください。
子どもには、決定ではなく理由から伝える
最後に、いちばん大事なところです。子どもには決まったことを通告するのではなく、なぜ変えるのか、次で何が変わるはずなのかを、本人の言葉で言えるところまで話してください。
本人が納得していない転塾は、次の塾でも同じ結果になります。反対に、何が合わなかったのかを本人が言葉にできていれば、次の塾で同じ状態になりかけたときに早く言い出せます。三番目の子は転塾のあと、自分から「前のところと同じになりそう」と言ってきました。一度言葉にした経験があったからだと思っています。
友だちと別れることを気にする子もいます。これは軽く扱わないでください。学習の条件だけで決めると、通う意欲の側が落ちます。教室が変わっても連絡は取れること、塾の外で会えることを確かめてから話すと、受け取り方が変わります。
よくある質問
Q.転塾すべきか迷ったときは、最初に何を切り分ければよいですか?
最初に切り分けるのは、いま起きている状態が塾を替えても起きるかどうかです。学校の授業では手が動いているのに塾でだけ止まるなら原因は塾側、学校でも家庭学習でも同じように止まっているなら塾を替えても変わりません。あわせて、その状態を塾に伝えたことがあるかを確かめてください。伝えていないなら、いまの塾はまだ手当てを試していない段階です。
Q.転塾のタイミングはいつがベストですか?
転塾のタイミングは、塾のカリキュラムの区切りに合わせるともっとも負担が軽くなります。新しい学年が始まる直前と、春期・夏期・冬期の講習が始まる前の2つが入りやすい区切りです。学年の切り替わりならカリキュラムが組み直されるため進度差がほぼ生じず、講習からなら授業の進め方と教室の雰囲気を確かめてから通常授業に移れます。受験の直前期は避けてください。
Q.転塾しても同じ悩みが繰り返されるのはなぜですか?
同じ悩みが繰り返されるのは、何が合わなかったのかを言葉にしないまま塾を替えているからです。授業のレベルと速さ、課題の量、講師との相性、教室の環境と通う負担のどれが崩れていたのかを書き出さずに移ると、次の塾でも同じ軸でつまずきます。移る前に崩れていた軸を一つ決めてください。その軸が、次の塾で最優先に確かめる項目になります。
Q.塾を変えるときの言い方は?
塾を変えるときは、不満を並べるのではなく、これからどうしたいかを伝える形にします。「本人の希望で、志望校の対策に絞った学習に切り替えることにしました」「通塾の時間と生活の組み立てが合わなくなってきたので、いったん整理することにしました」といった言い方で足ります。次の予定が決まっている状態で伝えると、引き止めが長引きません。
Q.退塾はいつまでに伝えればよいですか?
退塾の申し出の締切は塾ごとに違うため、入塾時に受け取った契約書面の中途解約の欄で確かめてください。当月の指定日までに申し出れば当月末で終了という形が一般的ですが、翌月分まで発生する定めになっていることもあります。書面が見当たらないときは、退塾の意思を伝えずに書面の再交付を教室へ依頼できます。口頭の確認だけで済ませないでください。
Q.中3や小6など受験学年でも転塾できますか?
受験学年でも転塾はできますが、本番からの逆算で判断してください。移った先で進度差を埋め、新しい進め方に慣れるまでには合わせて3か月前後かかります。残りが3か月を切っている時期に動くと、慣れ終わる前に本番が来ます。指導を足したいときは、丸ごと移すのではなく、いまの塾を続けたまま単科講座や短期の講習を外から補う形が現実的です。
Q.途中でやめると、残りの授業料は返ってきますか?
返ってくるかどうかは契約の形で決まるため、契約書面の記載で確かめてください。消費者庁の特定商取引法ガイドによると、学習塾のうち契約期間が2か月を超え、入学金や教材費を含めた総額が5万円を超える契約は特定継続的役務にあたり、書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフと、その後の中途解約が認められています。月ごとの契約では対象外になることもあります。
Q.子どもが「塾をやめたい」と言い出したら、どう対応すればよいですか?
まず、やめたい理由を4つの型のどれなのかまで聞き取ってください。授業のレベルと速さ、課題の量、講師との相性、教室の環境と通う負担のどれかに寄ります。理由がはっきりしたら、塾を替える前に、クラスやコースの変更、担当講師の交代、曜日とコマ数の調整を申し入れられます。本人には、やめること自体を失敗として扱わないと伝えてください。
まとめ
転塾の判断は、原因が塾側にあるかどうかの切り分けから始まります。学校では手が動いているのに塾でだけ止まるなら塾側、どこでも同じように止まっているなら塾の外に原因があります。切り分けを飛ばして替えると、同じことが次の塾でも起きます。
合わないと感じる原因は、授業のレベルと進む速さ、課題の量、講師との相性、教室の環境と通う負担の4つです。どれが崩れているのかを一つ決めてください。その言葉が、いまの塾への申し入れの内容になり、次の塾で最優先に確かめる項目にもなります。
替える前に試せる手当ては、クラスやコースの変更、担当講師の交代、曜日とコマ数の調整、科目と形態の組み替えの4つです。申し入れてから3か月から4か月、家で「今日やったことを説明できるか」を尋ねて反応を見てください。それでも変わらないなら、転塾が選択肢の中心に来ます。
動く時期は、新学年の直前か季節講習の前に合わせ、受験の直前期は避けます。臨海セミナーのように学年と期間で授業料の単位が公式に示されている塾は、年度の途中で移るときの区切りを先に読めます。移ると決めたら、次を決めてから退塾を申し出る順番を守り、契約書面の中途解約の欄で締切と精算の条件を確かめてください。
いまの塾へは、不満ではなくこれからどうしたいかで伝え、子どもには決定ではなく理由から話してください。転塾は終わりではなく、選び直しの起点です。一度言葉にした経験は、次に同じ状態が来たときに、もっと早く気づく力になります。

